臨床心理士のいるカウンセリング・ルーム

ちば心理教育研究所

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ハンバーガーとおばさん

子どもにとって親の愛情とは…?

 

 きょうお会いしたクライアントから聞いたいい話を紹介します。なおクライアントには、「この話、ほかの人にも紹介させてね」と、了解を得ました。

 この方は30歳代の女性です。幼いころから母ひとり子ひとりの母子家庭で育ちました。母親は生活することに手いっぱいで、この方の心に寄りそうことはほとんどできなかったようです。母親は友達もなく、休日は人と会って話したりといったことはなく、いちにち所在なく過ごしていたとのことです。

 そんな二人きりの生活のなかに、一組の母子が関わってくれるようになります。まだ小学校に入学する前のころのことで、クライアントが「おばさん」と呼んでいたその女性には、クライアントより3歳上の女の子がいました。クライアントの母親は車の免許がないので、クライアントは車に乗って出かけるということはまずないという生活でしたが、おばさんのおかげで車でドライブに出かけたり、ファーストフード店に出かけたりすることができました。週末の土曜、おばさんが車で迎えに来てくれて、その夜は母子でお泊りし、日曜の夕方自宅まで送ってもらうという日々が毎週のように続いていたといいますから、おばさんはよほど心の広い人物のようです。

 そんな或る日、マクドナルドでハンバーガーを食べていたときのことです。5歳児には少々大きすぎるハンバーガーを、クライアントははじめて一個まるごと食べられ、子どもなりに達成感を感じていました。するとおばさんが「○○ちゃん、全部食べられたわね」と声をかけてくれました。おばさんは、クライアントがハンバーガーを食べるのをそれとなく見ていてくれたのです。

 いまにして思えば――と、クライアントは言います――、おばさんはその日だけでなく、それまで何度か通ったマクドナルドで、私がハンバーガーを食べるのをいつも見てくれていて、いつもだと、一個丸ごと食べきれず残していた私のこともわかっていてくれていたのだ、と。

 さらにクライアントは続けます。――私の母親なら、私がハンバーガーを食べ残しているのを見て、「なんで残すのよ!」と叱るところだろう。しかし、おばさんは違った。おばさんは、私がハンバーガーを丸ごと一個食べきったことを、私と一緒に喜んでくれた。

 ここまで話すうち、クライアントは涙でぐしょぐしょになっていました。聞いている私も胸がつまりました。クライアントはこう付け加えました。

 ――私には幼いころ私に関心を持ってくれる大人はいなかったとずっと思っていたけど、今日カウンセリングの場で話していて、私にはこんなおばさんがいたんだとしっかり思い出せた。なんだかこれからの人生、頑張れそうな気がする。

 クライアントの話はここまでです。子どもが興味関心を持っていることに、親が関心を持ってやること、私はこれを「愛」と呼んでいます。クライアントは、体の栄養は母親からもらったようですが、心の栄養は母親からはもらえず、おばさんからもらったようです。

 その大事なおばさんとの関わりは、クライアントが小学校の3年生か4年生の或るときを境に、突然ぷっつりと終わってしまいます。クライアントは、おそらく、またまた母親が、相手(=おばさん)を怒らせたのだろうと思っていました。その後まったくおばさんと関わることもなく、また母親からなんの説明もないまま、今日まで30年近く、過ごしてきました。

 最後にクライアントはこう話しました。―― 5~6歳の子どもでも、おとなのことちゃんと見ているんですね。子どもに対して、「相手は子どもだから」と軽んじてはいけないんですね。

 

 

 

 

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